がんとは

人はがんそのものでは死なない

「がんで亡くなった」とよく言いますが、がん細胞が正常細胞を攻撃するわけではなく、組織に直接危害を加えるわけでもありません。

がんで亡くなるのは、がん細胞が増殖し、急激かつ大量に栄養を独り占めすることによって正常細胞が急速に栄養不足を引き起こしてしまうことによるものです。

がん細胞組織には正常細胞より多くの欠陥が存在し、格段に多くの血液が流入していきます。そのためがん細胞がある程度の大きさを超えると急速に正常細胞の栄養不足が起こり体力とともに気力も弱められていくのです。

がんによる正常細胞の栄養不足を防ぐには以下の2点が最も重要です。

・なるべく初期症状でがんに気づき、がん細胞を増やさないこと

・正常細胞が充分にその機能を発揮できるように栄養と血流を確保すること

がんに気づくための初期症状

どんな病気でも「完治に向けた治療において早期発見が最も大切」と言われていますが、がんは特に早期発見が重要です。がんによる死亡率がはかなり高いと思われがちですが、早期発見することで9割完治すると言われています。

実は自分で気づくような症状が出た段階のがんは早期発見とはいえません。そのため定期的な健康診断をおすすめします。 さらに次の段階として、初期症状が出た時にすぐに対処するために、がんの初期症状を知っておく必要があります。

がんの主な初期症状

しこり

皮膚に近い部分にがんが発生した場合に、がん病巣部に触れるとしこりのようなものができている。

めまいや貧血

白血病の初期症状で起こることがあります。

体重の減少

多くのがんで見られる症状です

がんの種類

がんは種類ごとに症状や再発しやすい部位が違います。

肝がんとは

肝臓は、西洋医学はもとより東洋医学では肝腎要と言われるように大変重要な働きをする臓器になります。 成人で約1000gと体内最大の臓器で、ここには多種類の悪性腫瘍が生じ、この悪性腫瘍は原発性肝がん(肝臓から発生したがん)と転移性肝がん(他臓器のがんが肝臓に転移したがん)に大別されます。

原発性肝がんは、肝細胞がんと胆管細胞がんが95%を占め、残りの5%には、小児の肝がんである肝細胞芽腫、成人での肝細胞・胆管細胞混合がん、未分化がん、胆管嚢胞腺(たんかんのうほうせん)がん、カルチノイド腫瘍などのごくまれながんが含まれます。

成人では、肝臓がんの大部分(90%)は肝細胞がんです。

胃がんとは

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すがんです。 胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれており、大きくなるに従ってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜やさらにその外側まで広がり、近くにある大腸や膵臓にも広がっていきます。

がんがこのように広がることを、浸潤といいます。 胃がんの罹患(りかん)率と死亡率は男性のほうが女性より高く、年齢別にみると40歳未満では男女差は小さく、40歳以降にその差が開きます。

胃がんの発生と進行度

胃がんは、粘膜内の分泌細胞や、分泌物を胃の中に導く導管の細胞から発生します。30~60ミクロンの大きさからはじまり、年単位の時間をかけて5mm程度の大きさになる頃から発見可能になります。

粘膜内を横に広がっている内はよいのですが、胃壁の外に向かって粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜へと徐々に深く浸潤(しんじゅん)し始めると、それに伴って転移しやすくなり、予後(治療による今後の見通し)が悪くなってきます。

このがんの外方向への進展は深達度(しんたつど)と呼ばれています。がんの種類によって、胃の内腔へも突出するような成長を示すものと、主に水平方向に浸潤していくものがあります。

大腸がんとは

大腸がんは、早期であればほぼ完治しますが、一般的には自覚症状はありません。したがって、無症状の時期に発見することが重要となります。 最近では、がんセンターで手術を受けた30%近くの方が便潜血反応で発見されています。

したがって、40歳を過ぎたらこの検診を受けることをお勧めします。血液検査で腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)の異常値で見つかることもあります。

大腸がんの自覚症状

血便、便が細くなる(便柱細少)、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返しなど排便に関する症状が多く、これらはS状結腸や直腸に発生したがんにおきやすい症状です。中でも血便の頻度が高く、これはがんの中心が潰瘍となり出血がおきるためです。痔と勘違いして受診が遅れることもありますので注意しましょう。

がんによる血便では肛門痛がなく、暗赤色の血液が便に混じったり、ときに黒い血塊が出るなどの特徴があります。

肛門から離れた盲腸がんや上行結腸がんでは血便を自覚することは少なく、貧血症状があらわれてはじめて気がつくこともあります。腸の内腔が狭くなりおこる腹痛や腹鳴、腹部膨満感や痛みを伴うしこりが初発症状のこともあります。

代表的ながんの発生部位・再発部位腫瘍マーカー※・症状の一覧表

※腫瘍マーカーとは、癌細胞または癌に対するからだの反応によって作られ、血液や尿、組織などで増加している物質のことです。 しかし、癌細胞だけでなく、正常細胞でもつくられますので、健常な人の体内にもわずかに存在します。

また、悪性腫瘍だけでなく、良性の疾患でも上昇することがあります。

部位 再発部位 主な腫瘍マーカー 症状
大腸がん リンパ節、肝臓、肺 CA19-9、CEA 血便/ 腹痛/ 腹部膨満感/ 下痢や便秘
胃がん リンパ節、肝臓、卵巣(女性) CA19-9、CEA 上腹部に痛みや違和感を感じる 消化不良/ 胸やけ/ 胃の慢性的な痛み/ 食後に胃の辺りに痛みを感じる/ 腹部膨満感
肺がん 肝臓、副腎、腎、脳 シラフ、SCC、SLX 咳/ 血痰/ 肺炎/ 発熱/ 胸の痛み/ 胸水
乳がん リンパ節、肝臓、骨、肺、胸膜 CA15-3、CEA しこり/ 皮膚のひきつり・えくぼ/ 乳頭からの分泌液/ 乳房の皮膚の変化
卵巣がん・子宮体がん リンパ節、肝臓、骨、肺、脳 CA125、CA72-4、STN、GAT 性交時の出血・性交後の出血/ おりものの異常/ 下腹部の痛み/ 排便異常・排尿障害/ 血尿・血便/ 発熱・寒気/ 腹部膨満感/ 月経異常・不正出血

検査数値、腫瘍マーカー

病院での治療指針の中に 血液検査を主体に判断し、その経過によって抗がん剤や放射線での効果の指標になる数値が御座います。その数値の変動によって統合医療での効果改善率をより正確に知り、今後の治療指針を進めていくことが大切です。

検査数値

名称 平均値 備考
WBC 35~98 白血球抗がん剤、放射線、感染症によって変動
GOT/GPT(AST/ALT) 10-40/5-40IU/L 10-40/5-40IU/L 肝臓癌、膵臓癌や抗がん剤・放射線によって悪化
APL 115-359IU/L 単独の上昇は骨、腫瘍、腸由来
IAL 580μg/ml以下 肝細胞やマクロファージで産生、癌の有無、進行度

腫瘍マーカー

名称 平均値 備考
AFP(α-フィトプロテイン) 10g/ml以下 肝細胞癌、肝芽腫、胃癌、肝硬変症、肝炎など
CEA 5ng/ml以下 大腸癌、胃癌、肺腺癌、乳癌、膵癌、甲状腺髄様癌など
CA19-9 37U/ml以下 膵臓癌、胃・大腸癌、胆管癌、卵巣癌など
CA125 35U/ml以下 卵巣癌、子宮体癌、膵癌、進行消化器癌
シラフ 3.5ng/ml以下 肺非小細胞癌、膀胱癌、頭頸部癌など
PSA 40ng/ml以下 前立腺癌、前立腺炎、前立腺肥大症
PIVKAⅡ 44mAU/ml以下 肝細胞癌、肝芽腫、ビタミンK欠乏症、抗生物質投与
hCG 0.7mlU/ml以下 絨毛癌、胃癌など(絨毛性ゴナドトロビン)
APL 115-359IU/L 単独の上昇は骨、腫瘍、腸由来
IAL 580μg/ml以下 肝細胞やマクロファージで産生、癌の有無、進行度

一般的な血液検査治療中は2週間~1ヶ月毎に行われ、腫瘍マーカーなどの検査は2~3ヶ月毎に行われます。 現在インフォームド・コンセントの観点から血液検査の数値などは、病院よりお教えいただけます。

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